
フジサワ名店ビルは391街区の中で最初に竣工したビルです。再開発前からこの土地で営業した『みのる百貨店』。『美栄堂百貨店』、『山田屋』の3つの店のオーナーたち3人の苗字(山岸、山田、山口)に共通 して含まれる「山」の字から「みやまビル」と名付けられることになり、ビル自体も「フジサワ名店ビル」と命名されることになりました。なお、「みやまビル」の名残は、開業後にビルの西北の角にも掲げられていた、3つの山で校正される冠状のビルのシンボルマークに見ることができます。

藤沢駅北口から望むフジサワ名店ビル
現在、フジサワ名店ビルは、「有隣堂」の入居するビルとして知られていますが、「みのるうなぎや」や「湘南魚つる」などの老舗も多く、駅前のシンボルとして地域住民に長きにわたり親しまれています。
名店ビルを外から眺める
名店ビルの中を楽しむ

段差は釉薬磁器タイルが床一面に張りめぐらされ、手すりは温かい木製。洒落たつくりである。

フジサワ名店ビルには中2階があり、また、手洗いも階段の踊り場にあるため、店舗内動線が複雑で面白い。

ビルのいたるところにあるショーケースには、ビルの店舗の商品が並べてある。今ではこうしたショーケースも珍しい。


開店当初、1階は「東京名店街」として、多くの名店が商店街のように集結した。

不二家には子供たちが殺到した。

1階から中2階に上がるメイン動線として使われた。

中2階は吹き抜けとなっていた。不二家2階では演奏会が行われた。
フジサワ名店ビルの屋上は、現在はあまり活用されていませんが、かつてはビアガーデン、サーキットや餅つき大会の会場など、ビルの「広場」として多くの人を惹きつけました。特に当初は、屋上は遊園地、そこに観覧車があったのです。
オーナーさんによれば、「観覧車に乗られる人もたくさんいて、集金していて楽しかった。観覧車で西向きにありましたから、観覧車の上から富士山がよく見えて最高でした。」とのこと。
名店ビルの屋上は今でも、天気が良ければ屋上から富士山を見ることができる、隠れた「富士山」スポットです。
- 慶應義塾大学SFC中島直人研究室『藤沢391まちづくりブック』、2013年
- 慶應義塾大学SFC中島直人研究室『藤沢アーバニズム』、2015年